・製品特徴-1

光酸発生剤 CTPAG-Ⅱ®
(Cyclo Propen Photo Acid Generator)
  1. 反応機構


    1. ワルデン反転の禁止と非平面カルボカチオン


    2. CTPAG-II®のスルホン酸基が結合する α 炭素はビシクロ炭化水素の 橋頭位であり、ワルデン反転が不可能であるため、2分子的求核置換反応 (SN2)は全く起こりません。
      また、ビシクロ化合物の橋頭位では分子歪みのためカルボカチオンが不安定で、 かつ平面カルボカチオンを形成できないので1分子的求核置換反応(SN1)は 全く起こらないか、もしくは極めて起こりにくいと考えられます。
      これらの理由により、非共有電子対を持つ官能基を有する樹脂などの有機成分 や水などの求核物質と共存しても、保存時または使用時に求核置換反応が起きて 分解してしまうことがないと考えられます。


    3. ブレット則の成立


    4. Scheme 1に一般的なスルホン酸エステルの脱離反応を示しますが、 スルホン酸が脱離した後の化合物は C 及び Y が全て同一平面上に 存在する平面構造となります。CTPAG-II®では、構造的に歪みのある ビシクロ骨格を有しており、ブレット則が成立しているため、このような 反応によって形成される平面構造をとることができません。
      従って、このような脱離反応が抑制されているため、CTPAG-II®は 熱に対して安定であります。


    5. ノリッシュⅡ型反応


    6. (1)・(2)のように、CTPAG-II®は基底状態反応には抵抗力が予想されますが、 一方で分子内にカルボニル基が組み込まれており、γ 位に水素が存在する ため、ノリッシュ II 型反応が起こります。その反応機構をScheme 2に 示します。光開裂後はビラジカル B を経由して化合物 C を与えますが、 この化合物 C においては(1)および(2)に示した制限が全て消滅するので、 有効に酸が発生します。



  2. CTPAG-Ⅱ®のUV吸収スペクトル


  3. CTPAG-II®の塩化メチレン溶液のスペクトルを以下に示します。 313 nm におけるモル吸光係数は 77.1、290 nm では 716 であり300 nm 以下の波長においても適度な分子吸光係数を示します。